読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

地域づくりブログ

地域を愛し、誇りを持って働き、暮らし、輝いている地域人(ちいきびと)の物語を紡ぎたい。

旧土井良家住宅の空き家再生プロジェクト(準備編)

地域づくり 糸島 空家

 現在、糸島の岐志浜という集落で、旧志摩町史にも載る古民家の空き家再生のお手伝いをしています。そもそものきっかけは、集落の方々の菩提寺である海徳寺の松月さんから、「空き家の活用の相談に乗ってほしい」と連絡を受けたことでした。ちょうどそのころ、私は福岡県の空き家関係の業務を手伝っており、空き家活用モデル普及促進事業の募集を行っていました。宣伝を兼ねて説明に行ったのですが、まさかそのときは、自分も当事者になるとは思ってもみませんでした。

◯集落の中心にある旧土井良家住宅

 空き家となっている古民家は、岐志浜集落のちょうど真ん中にあります。土井良丈文さんが以前は住んでいたそうですが、1年ほど前に亡くなられて空き家になったそうです。屋根裏の梁が太く、登録文化財級の住宅で正直驚きました。

 海徳寺では以前から週1回ほど地域の人たちが集まっておしゃべりをする居場所づくりを行っています。ただ、お寺の場所が集落から離れているため、高齢者の方々は家族の送迎が必要になります。自分の足でも気軽に通える身近な場所で開催してほしいというのが、地域の方々の願いでもありました。

 私が関わり始める前から、特別養護老人ホームなどを営む志摩園さんが空き家を活用して認知症カフェ(後におこもりカフェ)の実施を検討していました。しかし、建物の改修や維持管理については専門外なので悩まれていました。そこで、家主や海徳寺の方々と一緒に建物の維持管理を行う別の母体をつくり、志摩園さんには場所を借りてもらうことにしました。この母体(のちに旧土井良丈文家住宅管理運営会議)の立ち上げのお手伝いをしているうちに、いつの間にか私も当事者になっていました。

◯地元の意向に沿った事業構築

 土井良家住宅は市街化調整区域にあり、住宅以外の店舗などへの用途変更は基本的にはできません。住宅として貸し出すことはできるので、空き家の再生も賃貸住宅が望ましいと思っています。しかし、おこもりカフェの話がすでに動いており、地域の方々の期待もあります。福岡県都市計画課に相談したところ、集会所は準公共的な施設なので、県の支援(補助)があれば、開発許可が下りやすいという話をいただいたこともあり、県の空き家活用モデル普及促進事業の支援を受けて事業を進めています。

 補助金が切れたら事業をできないという事態にならないよう、運営母体のメンバーが出資でできる範囲内で計画をつくりました。建物の劣化状況も知り合いの棟梁らに見てもらいましたが、ほとんど問題なく、雨漏りもほとんど見られないので、改修費用をあまりかけていません。片付けも家主の親族や近所の方々、志摩園のスタッフ、助成をいただいた県の職員の方々らと一緒に行いました。処分に困った仏壇用品は海徳寺が引き取ってくれました。印象的だったのは、片付けが終わるころ、家主の親族の方々が「建物も綺麗になったし、丈文さんの一周忌や忘年会に借りたいね」と話していたことです。片付けをするだけでも、また人が集まってくれ、場が再生できるのだと感じました。

f:id:hmasa70:20151019095904j:plain

片付けの最中の様子。全部で1トンあまりの家財道具を搬出しました。

◯土地利用規制と住民生活の乖離

 今回のプロジェクトで、特に時間がかかっているのが開発許可の申請です。都市計画の専門家であるはずなのに、都市計画の手続きをまったく知らないことを痛感しました。そもそもすでに建物があるのになぜ、宅地造成などの際に必要な開発許可がいるのかと思うと同時にこれまで規制の立場からだけで制度を考えてきた自分を恥ずかしくも思います。市街地に人や施設を集約するコンパクトシティの考え方に賛成しますが、農村や漁村集落の維持していく取り組みは必要だと思います。住宅としてしか利用できないのはあまりにも幅が狭すぎます。土地利用制度が住民生活から乖離しすぎないよう、まだまだ見直しの余地があると感じました。

空き家再生の取り組みはまだまだ始まったばかりです。次回は、旧土井良丈文家住宅を使ったおこもりカフェなど、具体的な取り組みの内容を紹介したいと思います。

 

f:id:hmasa70:20151019153321j:plain

最後まで残っていただいた片付けメンバーと一緒に記念撮影